英語力上級者のための語学留学
語学留学とは、海外の教育機関でネイティブの教師から英語で英語を学ぶことのできる留学のことを指します。
英語を学ぶ生徒の英語レベルはさまざまです。例えば、アルファベットを書くことすらできない…というレベルの生徒から、日常的な会話は特に問題なく、すでにTOEIC700以上持っているというレベルの生徒まで幅広い生徒が存在します。
「全く話すことができない」という方でも、基本文系から勉強することができるのは語学留学の魅力です。ただ、中には一定レベルの英語力をすでに有していて、ビジネスシーンで使える英語力を習得したいという方もいれば、大学・大学院進学に必要な英語力を身に付けたいという方もいらっしゃいます。
今回は、そういった、一つ上のレベルの英語を学びたいという方に向けた語学留学をご紹介したいと思います。
英語上級者は特に学校選びに注意しよう!
一定のレベルがないとチャレンジできない英語コースがある
一生モノの英語の資格を取るのならケンブリッジ英語検定
世界で認められる英語検定IELTS(アイエルツ)
仕事で使える英語力を!ビジネス英語
番外編:スコアがあっても話せなければ意味がない!カランメソッド
さいごに。
英語上級者は特に学校選びに注意しよう!
語学学校では個々の生徒の英語レベルに適した学習を提供できるよう、入校時に英語力テストを行い、その結果に基づきレベル分けを行っています。レベルの分け方は語学学校によりますが、平均5~6段階、最低でも3段階から10段階程度に分けています。
レベル分けのイメージは下記の通りです。
レベル1…英検5~3級/TOEFL0-12/IELTS3.0
レベル2…英検準2級/TOEFL13-36/IELTS3.5-4.0/ケンブリッジ英語検定KET
レベル3…英検2級/TOEFL37-54/IELTS4.5-5.0/ケンブリッジ英語検定PET
レベル4…英検準1級/TOEFL55-74/IELTS5.5-6.0/ケンブリッジ英語検定FCE
レベル5…英検1級/TOEFL75-91/IELTS6.5-7.0/ケンブリッジ英語検定CAE
レベル6…英検1級+/TOEFL92+/IELTS7.5+/ケンブリッジ英語検定CPE
7段階、10段階など、より細かくレベル分けを行っている語学学校の場合、レベル1よりも低いレベルを用意していたり(まさにアルファベットから学ぶレベル)、レベル2~6をさらに細分化してクラス分けを行っていたりします。
私が留学した際に通った語学学校では、レベルが4つに分かれていました。上記のレベルでいうとレベル1からスタートしたことになります。ただ、レベルが4つしかなかったため、先述しているレベル分けでいうとレベル1~3くらいが同じクラスで英語の勉強をしているようなイメージ…。アルファベットを書けないロシア人からネイティブの先生と簡単な冗談を言い合うレベルのスペイン人まで幅広い生徒が存在しました。私は…と言えば前置詞の問題10問中7問間違えてしまうという恐ろしいレベル(苦笑)最初の1ヵ月間は授業内容についていくことができずもったいない時間を過ごしてしまいました。
これは英語上級者においても同じことが言えると思います。
きちんとクラス分けを行っている語学学校であれば、適切なレベルで英語を学ぶことができます。自分と同等の英語レベルの方と肩を並べて勉強することができるため、レベルの高いロールプレイなどを通じて、新しい語彙力や表現力などクラスメイトから得られる学びもあるはずです。しかし、規模小さい語学学校やレベルが3段階、4段階にしか分かれていない語学学校になると、本当はレベル6の英語力なのに、レベル分けがされていないから… 生徒数が少ないから…などの理由で下のレベルの生徒と一緒に英語を学ぶことになります。
そうなると新しい「学び」がなく、語学学校に通う意味や意義がなくなってしまいます。
従って、特に英語上級者の方は特に、語学学校を選ぶ際、細かくきちんとレベル分けがなされているかどうか、また、一般英語だけではなく、後述しますが各種試験対策コースや、個々の目的・目標に適した英語コースを持っている語学学校かどうかをチェックして語学学校選びを行うようにしましょう。
一定のレベルがないとチャレンジできない英語コースがある
語学学校で学べるのは「一般英語」だけではありません。
英語を学ぶと言っても、個々の生徒によって英語を学ぶ目的や目標はさまざまです。例えば、英語環境で働きたい、英語圏の高等教育機関に進学したい、就職活動で履歴書に書ける英語力を身に付けたいなどです。
ビジネスシーンで使える英語力はTOEIC730点以上、英語を使う部署や外資系企業の場合、履歴書に書くTOEICのスコアは800点以上が望ましいと言われています。また、大学・大学院での勉強についていくためには、IELTS6.0以上の英語力が必要とされます。
語学学校にはこれらの目標を達成するためのコースが存在します。
例えばTOEICで高得点を取得したい!と考える方向けのTOEIC対策コース。
英語圏の高等教育機関へ進学するために必要なIELTSやTOEFLの規定スコアをクリアするためのIELTS対策コース、TOEFL対策コース。高等教育機関へ進学した際に必要な英語スキルを身に付けるための大学進学準備コースなどです。
ただ、これらのコースに入るためには、一定の英語力が必要です。
例えば、TOEIC対策コースでは、TOEICの過去問をひたすら繰り返す…だけではなく、効率の良いスコアの取り方や勉強方法、押さえておくべき文法や単語など、これらの説明をすべて英語で学ぶ必要があります。当然、初中級の英語力の方にはむずかしい勉強になります。
TOEIC対策コースに限らず、大学進学準備コースの場合、IELTS5.0以上、ビジネス英語コースの場合、IELTS4.5以上が必要です。(各語学学校によって定める英語力の規定は異なります)
よって、これらのコースは、英語力上級者でなければ受講できないコースであり、英語力上級者の方にとっても学びのあるコースになります。具体的に英語力上級者の方に人気のある英語コースを紹介していきましょう。
一生モノの英語の資格を取るのならケンブリッジ英語検定
ケンブリッジ大学(Cambridge English Language Assessment)が実施している英語能力判断試験の一つです。世界130ヶ国以上で実施されており、年間250万人以上が受験する権威ある試験です。日本ではあまりなじみのないケンブリッジ英語検定ですが、世界で広く認知されている検定の一つで、ケンブリッジ英語検定の認定書は、生涯にわたる世界標準の英語力の証明となります。
目的・出題意図としては、英語圏における日常生活で求められる実践的な英語力を評価するもので、読む・書く・聞く・話すの英語4技能をすべてバランスよく伸ばすことができます。
先日オーストラリアで約1年間の語学留学を終え、ケンブリッジ英語検定CAEを取得された方とお話をする機会がありました。留学から帰国後、就職活動で有効に働けば…と思い、TOEICを受験したそうです。結果は、900点。ほとんど対策することなく、このスコアをたたき出したと言います。留学前のTOEICは600点だったというから驚きです。
ケンブリッジ英語検定は、ヨーロッパ諸国で人気の高い英語検定です。したがって、ケンブリッジ英語検定対策コースに入ると、スイス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ諸国の留学生が多く在籍しています。ヨーロッパ諸国の留学生は高いスピーキング力を有していることが多いため、自らのスピーキング力も引き上げられることが期待されます。TOEICなど、受け身の英語力を試す試験では高得点が取れるのに実践的なコミュニケーション力になかなか自信が持てない…という方にお勧めのコースです。
世界で認められる英語検定IELTS(アイエルツ)
IELTS(アイエルツ)は、英語を用いたコミュニケーションが必要な場所において、就学・就業するために必要な英語力があるかを評価する試験です。世界140ヵ国以上で実施される試験で、ヨーロッパ諸国、オセアニア、北米、すべての主要英語圏において、ビジネスビザ取得や高等教育進学時の規定に用いられる英語能力判断試験です。
IELTSは0から9.0点までのスコアで評価されます。
下記をご覧いただくとわかるように、どのような状況においても英語で流ちょうにコミュニケーションを取り、物事を理解できるレベルはIELTS7.0相当です。「私はある程度英語でコミュニケーションが取れる」と思っている方でも、7.0のスコアを証明することができなければ、実は独りよがりだった…ということもあり得ます。
英語上級者の方はぜひ世界中の高等教育機関や移民局なども信頼を置くIELTSにチャレンジすることをお勧めします。
点 | タイトル | 詳細 |
---|---|---|
9 | エキスパート・ユーザー | ネイティブスピーカーの流暢さに非常に近いレベル。十分に英語を駆使する能力を有しており、複雑な文章や会話にも対応可能。高い理解力を持つレベルです。 |
8 | 非常に優秀なユーザー | 自信をもってスムーズにコミュニケーションを取ることができ、込み入った議論などにも適切に対応できるレベルです。ただし専門的な語彙や表現力に対して時折、不正確さや不適切さがみられ、慣れない状況においては、誤解が生ずることもありえるレベルです。 |
7 | 優秀なユーザー | 大学・大学院の翻訳・通訳コースに入学する際に求められるレベルです。看護師など医療従事者の方が英語圏で専門職種として働くために必要とされる英語力レベルでもあります。高い英語を駆使する能力を有しており、複雑な言語も概して上手く扱えます。ただし、ときどき不正確さや不適切さが見られ、また状況によっては誤解が生ずる可能性があるレベルです。 |
6 | 有能なユーザー | 大学進学に必要な英語レベルです。レギュラーな状況においては、かなり複雑な英語を使いこなすことができます。ただし、不正確さ、不適切さ、および誤解が時折みられます。 |
5 | 中程度のユーザー | 主要英語圏の専門学校・短大に入学する際に必要な英語力レベルです。自らの専門分野においては時折高い英語力を駆使することができ、その他の分野においても物事の大枠を掴むことができるレベルです。ただし、複雑な会話や会議などでは理解しきれない箇所が生じます。 |
4 | 限定的ユーザー | 日常的な生活においてのみ、基本的なコミュニケーションをとることのできる英語レベルです語彙や表現力に誤りが頻繁にみられ、複雑な英語は使うことができません。 |
3 | 非常に限定的なユーザー | 日常生活において挨拶など、慣れた生活環境の一部で英語コミュニケーションが取れるレベルです。コミュニケーションは頻繁に途切れます。 |
2 | 一時的なユーザー | 英語でコミュニケーションを取ることはできないレベルです。極めて基本的な情報を単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることが精いっぱいです。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労するレベルです。 |
1 | 非ユーザー | 挨拶、YES/NOを答えることができるレベルです。コミュニケーションはまだ取れません。 |
仕事で使える英語力を!ビジネス英語
英語を学ぶ目的は人それぞれです。貴重な時間とお金を投資して留学するからには、留学で得た経験や英語力が今後の人生を豊かにするものであってほしいものですよね。そんな方におすすめなのが、ビジネス英語コースです。ビジネス英語のカリキュラム内容は語学学校によって大きく異なります。ただビジネスシーンで使う英語表現を学ぶだけのコースもあれば、ビジネス英語ではなく「ビジネスを学ぶ」という内容を盛り込んでいるコースもあります。
例えば、3人1グループで、それぞれを、カフェ運営するオーナーやスタッフになったと想定し、新しい商品開発に関する意見を出し合う。授業の終わりには各々が企画した新商品のプレゼンテーションを他の生徒向けに行い意見交換する…など、実際のビジネスシーンで求められるビジネススキルと共にビジネス英語を学習する…などのです。実践的で面白そうですよね?
ちなみに、ビジネスコミュニケーションスキルを評価する試験も存在します。
ビジネスコミュニケーションスキルをテストする「BULATS」
「BULATS」とはケンブリッジ大学英語検定機構と提携し、ヨーロッパを中心として広く世界に普及しているビジネス英語能力テストです。日本でも2004年から実施されています。
BULATSは、実際のビジネスシーンに必要な英語でのコミュニケーション能力を測定。「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの言語技能すべてを評価することができます。近年、三井物産、三菱商事、住友商事など、海外転勤・出張などの機会も多い大手総合商社にて、採用時の規定の一つとして導入され、一気に注目を浴びました。
その他導入企業・団体
http://www.eiken.or.jp/bulats/merit/performance/
せっかく身に付けた英語力をより高いレベルで活かしていきたい!仕事で使いたい!世界で活躍したい!そんな方にお勧めの試験、英語コースです。
番外編:スコアがあっても話せなければ意味がない!カランメソッド
さいごに、英語上級者にも嬉しいメソッドをご紹介します。
カランメソッドはイギリスで生まれた英語学習方法で、50年以上の実績を誇ります。
ヨーロッパ諸国を中心に、世界30ヵ国以上、500校以上の語学学校で提供されているカランメソッドは、英語力上級者向けにもお勧めのメソッドです。
実際、ワールドアベニューからご紹介している人気校「JET English College」(カランメソッドをオーストラリアで唯一実施する語学学校)には、大手商社・メーカーなどの駐在員の方や、現地大学・大学院に通う方々が自らの足らない英語力を補強するため、夜間コースなどに通っていらっしゃいます。
カランメソッドでは、他のメソッドと異なり「正しい文法・発音・イントネーション・スピード」で英語コミュニケーションを流ちょうに取ることができるようになるため、ひたすら反復練習を繰り返します。
いざネイティブスピードでの会話となると、頭では理解している文法も、ついつい間違えてしまったり、躓いてしまったりします。留学生同士ではなく、ネイティブの教師と対面し、間違いがあれば都度その場で正しい表現に直すよう指摘してもらうことができ、それをひたすら繰り返すことで、意識しなくても正しい英語を使いこなせるようになります。
先述したケンブリッジ英語検定やIELTSのスピーキングテストの対策としても有効です。
さいごに。
いかがでしたでしょうか。
「ある程度話せるので、語学学校は意味がないと思う」そんな風にお話しされる方もいらっしゃいます。たしかに、一定レベル以上の英語力を有している方の場合、現地企業でのインターンやネイティブ環境での専門的な勉強(専門留学)など、語学学校(語学留学)以外の選択肢もあります。しかし、インターンも専門学校や大学なども、もはや「英語を学ぶ場所」ではないため、英語の間違いや語彙力の少なさを補強はしてくれません。今回紹介させていただいた英語コースなどを参考に、ワンランク上の英語力を身に付けてから、ネイティブ環境に入ることができれば、活躍の場も、高等教育機関での学びもより深まります。
ぜひ参考にしてみてくださいね。