留学に限らず、人は今までと違った環境に置かれるとき、ついあれこれと考えてしまい不安になることが年齢や性別を問わず誰にでもあることなのです。
初めて家族と離れ、朝一人で起きなければならないことはもちろんですが、身の回りのこと全てを自分でやらなければならない環境になる海外留学。特に単一民族国家で島国に生まれ育ち、異文化のなかで生活した経験の乏しい日本人にとって、ホームシックや環境への適応などに対する不安は一入かと思います。しかし、カナダ留学ではホームシックになることが少ないといわれます。
その理由は、カナダが世界で初めて多文化主義を導入した国だからです。
カナダはカナダに暮らす人々の多様性から、文化や習慣などの「違い」を互いに尊重し認め合うことを主義としており、生活習慣が違ったり英語が話せなかったりするからといって、それを指摘されたり、それらを理由に差別を受けたりするようなことは基本的にありません。また各国の物や食文化も多く受け入れているカナダへの留学は、留学生本人はもちろんですが、送り出す家族にとっても安心できる多くのメリットを持つ選択と言えるでしょう。
ここではカナダ留学のメリット、そして魅力についてお伝えしていきます。
カナダの中にある世界。各国ごとのコミュニティ▼ |
日本食に困らない▼ |
ローカルスーパーにも日本の食材▼ |
あのメニューもカナダが発祥の地!?▼ |
まとめ▼ |
カナダのなかにある世界。各国ごとのコミュニティ
世界のなかでも安全で住みやすいといわれる移民の国カナダは、多種多様な文化が混ざり合い都市を形成しています。特にモザイク都市と呼ばれるトロントや西側の玄関と呼ばれるバンクーバーは、人々の多様さだけでなく企業をはじめ、レストランなどの飲食店や雑貨などを扱うお店も多様さを持っています。
例えば日本では「中華街」と呼ばれる中国人の街は、海外にも存在し「チャイナタウン」と呼ばれます。モザイク都市 トロントはそのチャイナタウンをはじめ、コリアンタウンやリトルイタリー、リトルポルトガルなどと呼ばれる地域がありカナダにいながら世界各国の食や文化を体験することができます。
また、カナダには約12万人以上の日系の人々が暮らしています。そのため、トロントやバンクーバーをはじめとするカナダの各主要都市にはほとんどといっていいほど日本人のコミュニティがあります。たとえばトロントには「国際交流基金トロント日本文化センター」の中に日本語の図書館があり、2万を超える日本関連の書籍やDVDなどの映像を所蔵しています。登録をすれば借りることもできますし、日本の新聞や雑誌などを読むこともできます。カナダ留学中でも日本で人気のファッション雑誌なども読むことができますので日本語の本や雑誌などを読んでいる間は日本にいるときのような時間が過ごせるのではないでしょうか?日本語や日本の文化などを恋しく思った瞬間などにはうれしい環境ですよね。日本人向けのイベントなども定期的に企画されていますし、建物内には日本文化を紹介する展示物や日本の文化を伝える教室なども開催されていますし、オンラインでおすすめの日本語書籍なども見ることができます。
日本食に困らない
海外にきてホームシックになる大きな要因のひとつに「食べ物」があるのではないでしょうか?
日本食を提供する和食店やレストランはカナダにはたくさんありますのでその点もカナダ留学の大きなメリットです。
日本人の経営する日本の食材を使用するような日本料理店などは少し高価なお店も多いため、勉強を中心にした留学生活を送っている日本人留学生にとってはハードルが高いと思うことも多いかもしれません。しかし、日本と同じように居酒屋やカフェなどといったカジュアルなお店もあり、ランチであれば比較的リーズナブルな価格帯で、日本で食べるときとさほど変わらない食事をすることもできるでしょう。
他にも日本でおなじみのコンビニのようなお店がある場合もあります。バンクーバーのダウンタウンにある「KONBINIYA JAPAN CENTRE(コンビニヤ・ジャパン・センター)」では、おにぎりなども簡単に手に入ります。輸送費などが上乗せされているため、日本のコンビニと比べると少し価格は高めではありますが、おなじみのお菓子、調味料や日用品などが、手軽に手に入るというのはうれしいですね。
インターネット上で実際に取り扱う商品を見ることもできますのでご家族と一緒にチェックしてみてください。きっと「こんなものもある!」と安心できると思います。
トロントには「J-Town」などの日系大型モールがあり、寿司、ラーメンなどの日本食レストランをはじめベーカリー、居酒屋、カフェ、さらには日本語書籍を扱うブックストア、日本人の美容師さんがいるヘアサロンなども出店しています。
日本食は、長期の留学になると特に恋しくなることが多くなります。日系のお店で働くスタッフは日本人も多いため、ちょっとした会話で日本語が使えることに安心を覚えることもあると思います。
もちろん、日本語ばかり喋っていたら、せっかくの留学の意味がありません。ただ、日本恋しくなったとき、英語環境を心底辛い!と感じたときに、身近に日本を感じることのできる食や文化、人々と触れ合える環境があることはカナダ留学の大きなメリットの一つです。
ローカルスーパーにも日本の食材
道行く車が日本製と言うのはもちろんですが、歩いていて日本語で声をかけてくれる方もいるくらい日本製品や日本語に対する距離感が近いのはカナダの魅力の一つです。日本食を取り扱う日系のスーパーマーケットも各都市に複数あります。日本の食材、調味料、日用品、お菓子、お寿司や総菜なども多く取り扱っています。近くに日本食のお店がない場合でも、中華系や韓国系のスーパーマーケットなどでも日本食を置いているところがあります。また、現在カナダ国内で約180以上の店舗数を持つ「SAFE WAY-セーフウェイ-」などをはじめとするカナダのローカルスーパーマーケットなどでも、日本のみそ、しょうゆをはじめ日本風のお菓子やインスタントラーメンなどを取り扱うところもあります。しかも「〇〇みそ」などと日本と変わらないパッケージのものもあります。また完全な日本製のものは少ないかもしれませんが日本のように米を食べる文化のある国の食材を扱うお店でも、その中で似たような食材がありますのでのぞいてみてください。お米なども日本の米を買う場合、高価で取り扱っている場所も限られてしまいますが、カリフォルニア米などは比較的日本米に近い米で普通のスーパーなどでも売られていますので簡単にしかも安価で手に入れることができます。場所によっては量り売りになっているところもありますので少量購入して味が合うか確認してから、リピートしてみるのもいいでしょう。
それから、日本食を扱うスーパーや日本料理店などには現地の情報が満載の日系の新聞やフリーペーパーが置いてあることも多いです。たとえばバンクーバーでは毎週木曜日に発行されている日系新聞があります。「バンクーバー新報」の中には日本で話題のニュースなどはもちろんですが、日本食のレストランの情報や各地域の日本食材を取り扱うお店の特売情報などをはじめ、日本人向けのイベントや不用品の譲渡の掲示板など、現地の情報をたくさん掲載しています。インターネットでもカナダ在住の日本人向けの掲示板などでいろいろな現地の情報を入手することができます。必ずしもすべてが正しい情報とは限りませんが、近くで情報が得られない場合は利用してみるのもいいでしょう。
カナダには日本で便利な100円均一などのように、同じような形態のお店「DALLARAMA-ダララマ-」があります残念ながら品揃えも商品自体ももちろん日本と同じではなく、且つ、輸送費などのコストがかかっているために100円均一とまではいきませんが、日本のダイソーなどと同じ商品を取り扱っているお店があるのは便利だと思います。日本で使っていた商品を気軽に見て入手することが出来ますので時間があるときに一度見に行っておくことをおすすめします。どうしても必要になった時など、どのような商品が手に入るかを把握しておくと心強いですね。
あのメニューもカナダが発祥の地!?
特に最近、日本食が世界的に注目されているところからも、カナダには多くの日本食レストランが次々とオープンしています。経営者が日本人ではないこともあり、実際に行ってみると「これが日本食?」というようなお店も中にはあります。しかし、オリジナルの日本食とはまた違った発想で創作した寿司や各国の食文化を融合した和食が斬新でおいしいことも多々あります。
今では、マグロの代わりにアボカドを使った巻きずし「カリフォルニアロール」なども世界で定着したおなじみのメニューです。「海苔を内側に巻く」巻き寿司ですが、バンクーバーで創られたといわれる「Tojo(東條)ロール」が、実はカリフォルニアロールの元祖だという説もあるのだそうです。
見た目が黒く当時海外ではあまり好まれていなかった「海苔」や「生の魚」を食すという他の国から見ると独特な日本の食文化。そのスタイルの寿司が苦手なお客様の為に、バンクーバーの有名な日本料理店が考案したと言われているのですが、まさに個々の文化や習慣の違いを尊重し、互いに認め合うというカナダの文化を背景にして、世界の多くの人々に受け入れられるメニューが生まれたのでしょう。
参照記事:カリフォルニアロールの生みの親=東條さんの店が19周年迎える
また、地元で獲れるサーモンなどを使った料理などは、とても新鮮ですので、むしろ日本よりもおいしいと感じることもあるのではないでしょうか。最近は巻きずしのデリバリーなども多く、ヘルシーな日本食はカナダ人に大変人気で生活に浸透しています。留学中、ホストファミリーや友人に巻きずしのレクチャーを頼まれることもあるかもしれませんね。多種多様な文化を有するカナダではそうした食の観点からもたくさんの選択肢があり、いろいろな角度から、世界から見た日本に触れ、人々と関われることができるのがカナダ留学の大きなメリットなのです。
まとめ
多種多様な文化を有するカナダではたくさんの日本に出会うことができます。結果、「日本」を世界から見つめなおすことで、自国の新たな魅力に気が付くことができるというメリットもありますし、日本を身近に感じることで、大きなホームシックにかかりにくいというメリットもあります。そのため留学する本人はもちろんなのですが、日本から送り出すご家族にとっても安心できる国と言えるのです。
また「どうしても●●がほしいけど近くで売っていない。」という場合は、日本のご家族や友人から送ってもらうのも一つの手です。国際便は基本的に高いと思われていますが、いろいろな種類に分かれているためその時の状況に応じて使い分けることをお勧めします。ホームシックにかかっていることを一人で悩んでいるよりも、そのことを相談してもらえると、遠く離れた日本でただ漠然と心配しているより実はうれしいものなのです。ご家族もきっと喜んで応じてくれるのではないでしょうか。また、日本から故郷の味やお気に入りのものが送られてくる。荷物の中にはご家族の愛もしっかりつまっていることが伝わるでしょう。