「カナダ英語」とググってみると、下記のような内容がまずトップに出てきます。
-Wikipedia
過去200年に渡り、フランス、イギリスを中心とする移民と定住の波のなか、また隣接するアメリカからの影響によって生まれたカナダ英語。そのスペリングにはイギリス英語を色濃く残し、発音や使用する単語はアメリカ英語より。同国内のフランス語圏では、フランス語のアクセントの強い英語と、「キレイ」と表現するにはあまりにも中途半端な、前向きな言い方をすると非常に多様性に富んだ英語のように思います。
アメリカの大人気コメディドラマ「フレンズ」やアメリカアニメ 史上最長寿番組「ザ・シンプソンズ」でも、カナダ英語をやや皮肉るようなシーンがあるように、語尾に‘eh’とつける独特の表現などもあります。
では、なぜ、日本人はカナダ英語を「キレイ」と感じるのか。
その所以は、大きく2つあります。
1.日本で使用されている英語(カタカナ)と同様の表現が多い
2.第一言語を英語としない人にとって寛容な土壌がある
1.日本で使用されている英語(カタカナ)と同様の表現が多い
これは多くの日本人がイギリス英語よりもアメリカ英語の方が得意、聞き取り安いとする理由と同様です。そしておそらく、もともと英語が好き、洋画や洋楽が好きで、アメリカンカルチャーに頻繁に触れてきた方にとって、「キレイ」と感じる大きな要因の一つだと思います。
例えば、缶(カン)は、カナダ英語で ‘can’(カン(厳密にはキャとカの間のような発音))ですが、イギリス英語だと‘tin’(ティン)と言います。ズボン(パンツ)のことはカナダ英語で‘pants’(パンツ)ですが、イギリス英語だと‘trousers’(トラウザーズ)です。野菜のズッキーニも、カナダ英語だと‘zucchini’(ズッキーニ)ですが、イギリス英語だと‘courgette’(クジェット)です。(ズッキーニに関しては、カナダ人に「‘courgette’はどこですか?」と聞いてもほとんど伝わりません(笑))
他にも、「海外でトイレはトイレと言わない。バスルームやウォッシュルームという。」というような、日本の英語教育の中で教えられる表現もその多くがカナダを含む北米の英語です。
(ちなみに、イギリス英語圏では、トイレはトイレです。つまり、イギリスでは「彼女は今お手洗いにいっているよ」と言いたいとき、‘She is in the toilet’ となりますが、カナダ人にとって‘She is in the toilet’ は「彼女が便器(トイレ)の中にいる」となり、まるでホラー映画、またはひどいいじめにでもあっているような話になってしまいます。)
このように、カナダでは、「日本で学ぶ英語」、つまりアメリカ英語に近い表現や単語が多く使われているため、会話の内容がスムーズに耳に入ってきます。これが、「カナダ英語がキレイ」と言われる所以の一つです。
2.第一言語を英語としない人にとって寛容な土壌がある
1を読んでいただいて、「だったらアメリカ英語の方が聞き取りやすいし、キレイと感じるのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。しかし、実際にカナダに留学していた方に話を聞くと、「アメリカよりもカナダの方が聞き取りやすいし、キレイな英語だと思う」という方も多くいらっしゃいます。
なぜか?
その理由が2つ目の「第一言語を英語としない人にとって寛容な土壌がある」ことだと思います。
カナダは英語だけではなく、フランス語を公用語と定め、2006年の国勢調査によると国民の6割弱のみ英語を第一言語とし、4割強の人々はフランス語を中心に他言語を第一言語としているという結果が出ています。つまり、5人に2人が、英語を第一言語としていない環境だということです。
これを日本、日本語でイメージしてください。
中学校、高校など、1クラスの人数はだいたい30人程度。クラスメイトの内12人~13人の第一言語が英語だったり中国語だったりするということです。
こうなると、学校の先生は全員に授業内容を理解させるためにゆっくりとわかりやすく話す必要がありますし、休憩時間中のたわいない雑談も、第一言語が英語ではない子たちとも楽しくかわせるように、ゆっくり、はっきり話すことがスタンダードになるでしょう。
互いのミスコミュニケーションがないように、また、第一言語を英語としない人たちの、時に片言の表現に対しても免疫ができ、多少、使用している単語や表現のニュアンスに不自然さを感じても、嫌な顔一つしなくなります。バカにしたり、それらが原因でいじめられたりなどということも、起きにくいことが想定されます。
結局、カナダ英語はキレイなの?
アメリカ人から見たら… イギリス人から見たら… カナダ英語が特別美しい英語なのか?というと決してそうではありません。
ただ、実際にカナダ留学していた留学カウンセラーも「カナダの英語はとにかく聞き取りやすい」と言います。そして、「カナダの人々は本当にやさしい」とも言います。英語に対してコンプレックスが多く、常に正解を求めがちな日本人にとっては、「カナダ英語がキレイと言われる所以」である、日本で使用されている英語(カタカナ)と同様の表現が多いことや、カナダの第一言語を英語としない人にとって寛容な土壌は、魅力的なポイントなのかもしれません。