留学することのメリット
文科省主体となって行われるスーパーグローバルハイスクールやユニバーシティへの取り組み、国際バカロレア認定校などを200校以上に増やす施策の実施など、国を上げて国際社会の波に乗ろうと躍起になっている昨今、留学を促進する動きも高まってきています。これらは、急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ、社会課題に対する関心と深い教養に加え,コミュニケーション能力、問題解決能力などの国際的素養を持つ、国際社会で活躍できるグローバルリーダーの育成に向けた動きであり、グローバル社会で活躍できる人材育成に対する国としての真剣度を表すものと言えます。
留学はグローバル社会で活躍する人材育成の一環として民官共に力を入れている取り組みの一つでもあり、十数年前に留学生に対して抱かれていた、日本社会との親和性の低さなどネガティブなイメージはすでに存在しないように感じます。
それでもなお、安定志向で内向的な日本人は「留学」という、人生の大きな流れから一歩踏み出す挑戦に対し、ネガティブなコメントを挙げることが多いのは事実です。今回は、残念ながらネガティブな意見に振り回され「留学すべきかどうか迷っている」という方へ、あらためて留学のメリットをご紹介したいと思います。
1、最大のメリット「他言語(英語)の短期習得」
グローバル化が急速に進む現代、もはや英語力は必須の能力です。その証拠に、新卒採用時の足切り要因として、サムスンでは900点、NTTコミュニケーションズでは850点、LG電子では800点、国内でもいち早く社内公用語を取り上げたファーストリテイリングでは700点と、各々TOEICのスコアを規定に設けています。
また、入社できたとしても安心はできません。課長や部長に昇進する際の条件として、日立製作所 (経営幹部)では800点以上、楽天では、750点以上など設けられています。
「英語力を身に付ける」ことは、これからの社会、必ずどこかで達成しなければならないことだということです。
ただ、英語力って身に付けるまでに、かなりの時間を要しますよね。
実際、日本で高校まで卒業している方の場合、少なくとも6年間は英語を定期的に勉強してきているはず、なのにも変わらず、高校までの勉強で「英語を喋れる」方は非常に少ないのが現状です。
英語力の習得に要する時間に関してはさまざまな意見がありますが、平均すると実践的な英語コミュニケーション力の習得には2,000時間~2,500時間程度を要すると言われているようです。
日本の公教育のなかで1,000時間は勉強していると仮定して、残り1,000時間から1,500時間を消化するために、英会話レッスンに通ったとすると・・・
1レッスン1時間の英会話レッスンに1ヵ月で4回(週1回)通うと、最低250ヵ月間英会話に通う必要があります。つまり、20年間以かかる計算になります。今20歳の方でも、習得するころには40歳ということですね。(恐ろしい…)
これが、留学ともなると寝ているとき以外の時間(生活の3分の2)は英語環境になるため、根を詰めれば半年間、余裕をもってもたった1年間で、1,500時間は簡単に消化するこができます。
個人差はあるものの、数字上の可能性でいえば、38歳で留学しても39歳のときには英語を習得していることになります。
「英語の勉強だけなら日本でもできる」と言われる方もいらっしゃいますし、ごもっともだと思います。
ただし、日本で勉強する時間の20分の1の時間で習得できるとなれば話は別ですよね。
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2、自己効力感の向上
留学するうえで、「自信をつけたい」という方は少なくありません。
実際、私も「自信をつけたい」は、留学しようと決断した時の理由の一つでした。
高校時代、部活動に力を注いでいた私は、高校3年生で部活引退後、その開放感から、受験生において最も大切な高校3年生の夏休みを遊んですごしてしまったのです。その後、さすがに危機感を覚え、必死に勉強するも夏休みの時間をきちんと勉強していた子たちに勝てるわけもなく、当然受験に失敗します。結果、滑り止めの大学にしか受かりませんでした。浪人するという話も出たものの、自分に甘い自身の性格を熟知していた私は、浪人してもどこかで遊んでしまって、今もらっている合格すらもらえずに、2浪、3浪とずるずるし、結果大学に行けず高卒で就職することになったりしたら、人生終わりだと思いました。「いやいや、そこは頑張れよ」という話なのですが(苦笑)、とにかく先の見えない孤独な闘いのなか、勝利を勝ち取る勇気も自信もありませんでした。
滑り止めの大学は残念ながら決してレベルの高い大学ではなく、一部特待生などで優秀な子はいるものの、本当にすごいな、賢いなと思える友人との出会いもわずかに、4年間、果てしなく後悔し続けました。
悲惨な受験経験をしたこともあり大学ではきちんと勉強に励もう!と決めて臨みました。結果成績もよく、目標としていた当時合格率3割以下と言われていた国家試験にも合格することができました。ただ、大学4年間、国家試験合格に向けて勉強してきたにも関わらず、試験に合格できなかったなんて、あり得ない話なので、ここでもやはり大きな自信は持てませんでした。しかし、大学受験に失敗した直後よりは、「私もちゃんとやればできるんだ」と、自己効力感が回復傾向にありました。
そこで迎える「就職」です。
当時社会福祉関係の勉強をしていた私は、将来的に大学院に進み臨床心理士の資格を取ったり、国際協力活動などへ参加したりと、いくつか「憧れる将来像」がありました。しかし、そのいずれにも「英語力」が必要だったのです。
英語には中学2年生でつまずきを覚えていました。‛I have been・・・‘と現在完了形の文法を学んだときにはもはやパニックだったと思います。(笑)そこから逃げに逃げ、英検も取らず、英語の授業は頭から苦手だからとよくわからない言い訳をし、それこそ大学受験のセンターでも失敗しているような状況でした。
ただ、逃げてきた英語が壁となって、自分の将来を狭めていると気が付いたとき、ここで逃げたら大学受験の二の舞だと思いました。大学時代は4年間ですが、ここで逃げたら一生後悔するな……と感じました。
これ以上、後悔し続けるのは、もういやでした。
カッコ悪すぎで、ダサすぎて、もう、本当にどうにかしたかったんです。
そこで話がでたのが留学でした。
当時の私の留学のイメージは、ものすごく優秀で、すでに英語がペラペラの人が行くというものでした。しかし実際に調べ始めてみると、本当にさまざまな留学があることがわかります。
語学学校と呼ばれ、英語も現時点で初級でも、英語学習からスタートできることも知りました。
生活面ではホームステイができ、最初から自分で家探しをしたり、寮などで自活したりしなければならないというわけではないということも知りました。留学は私にとっても「挑戦できる」ものだったのです。
大学時代福祉を学んでいるなかで、北欧やオセアニア圏の福祉制度の充実度の高さには感動するものがあったため、海外で福祉の現場を見てきたいと考えました。ワールドアベニューにも看護留学と呼ばれる留学がありますが、イメージはこの看護留学に近しいものです。
決断するときには勇気がいりました。しかし、大学4年間のように自分に自信が持てないまま無難な人生を過ごしていくなんて、本当に嫌だったんでしょう。初海外・初留学で、不安もてんこ盛りでしたがチャレンジすることを決めました。
留学では、本当にたくさんのことに躓きました。
英語力、人間関係、文化の違い、価値観の違いなど様々です。しかし、留学には「時間制限」があります。日本で生活しているときには感じなかった、「今やならなきゃ、もうできないかも」という意識が強く働きます。この意識が、多くのことに挑戦させてくれたと感じています。
結果、英語力が伸びたことを始め、大きなキャリアチェンジにも踏み出すことができ、新しい環境に飛び込むことに躊躇することが極端に減りました。「自信」というのは「私すごいから」というものではなく「努力さえすれば絶対にできるようになる」という、どんな環境でも、どんな物事に対しても「努力する」「成し遂げる」自信があるという状態です。物事はどうであれ、「達成できるかどうかわからない」目標に対して覚悟を決め、挑戦し、努力し、その目標を達成した時に得られる自信。言語も文化も習慣も異なる異国の地で1人目標を達成してきたという事実(留学経験)は、その後の将来を大きく変える自信につながります。
3、異文化理解力の向上
日本にも旅行や仕事で訪れる外国人の方が、増えてきています。しかし、まだまだ、日本人と日本語で生活していることが一般的です。最近、忖度(そんたく)という言葉が話題に上りましたが、同じ言語・価値観・文化を共有する日本人9割の日本社会では、相手の意向や思いを推し量ることができる社会です。しかし、海外、特に英語圏は日本のようにはいきません。
例えばオーストラリアのシドニーには143ヵ国以上の人々が生活していると言われています。
もはやオリンピックのような状況です。
少なくとも143ヵ国の人々が使う言語、文化、習慣、そして価値観などが一つの空間で共有されながら社会が回っています。日本では想像もできない世界だと思います。
このようなさまざまな文化や習慣、価値観が折り重なる環境で勉強したり生活したりすることで、日本では決して得ることのできなかった異文化に対する理解力を得ることができます。
例えば、私は留学中にインド人のシェアメイトと暮らしていることがありました。
ある日、インド人の彼は、国際関係学の授業に対して不満を感じていると話していました。理由を聞くと「今日、大学の講義でインドの貧困地域にある工場の動画を見たんだ。そこでは10歳前後の子供たちが就労環境も整わないなか10時間も15時間も働いているんだよ。君はそれを見てどう思う?」と質問されました。
私は、単純にかわいそうだと感じ、もう少し具体的ではありますが、感じたことを伝えました。すると彼は、「イギリス人をはじめとする先進国出身の生徒は、全員、君と同じような意見だった。僕はその意見に対しある種の怒りを感じたんだ」と言いました。
私は驚きました。
なぜ彼が怒りを感じたのか?その理由を聞くと「その動画に出てきた地域は確かに貧困地域で、動画に出てきた工場の就労環境は悪く、年端もいかない幼い子供たちが長時間労働している。けれど、それが『不幸』な境遇だなんて誰が決めたんだ?」というのです。私は意味がよく分からなかったのでもう少し具体的に彼の話を聞きました。すると「その地域は仕事を見つけることすら非常に厳しい地域で、そんな地域で『仕事がある』こと自体が実は幸せなことだ。仮に自分の両親が病気にかかっていて、病気を治すために病院に行ったり薬を買ったりしなければならないとする。君だったら、そんな状況下で自分に仕事があるのとないのとどちらが幸せだい?」と質問されました。
そう、私が動画に出てきた彼らを「不幸」と感じたのは、恵まれた先進国で、それが当たり前のように育ってきた私たちの環境と比較して「不幸」だと感じたのです。そして、彼らを取り巻く環境に対し、あまりにも知識を持たずに安直な意見で且つ偽善的な意見を述べていたんだと気が付かせられました。
留学し、さまざまな人々と出会い、会話をすると、本当に自らの浅はかさや無知さをひしひしと感じます。
自分と異なる言語・文化・習慣・価値観に触れることで多角的な考え方や、相手の立場に立った物事の見方、世界の「常識」、日本の「非常識」などを感じることができます。
グローバル力とは
と言われていますが、これらは、日々の生活においても、ビジネスにおいても非常に大切な感覚・能力だと思います。
4、就職の幅が広がる
日本学生支援機構 留学経験者の追跡調査(平成30年度)過去15年以内に海外留学経験のある20~40代の方対象に行ったアンケート「留学で培い、仕事にとくに役立っていると思うものをお答えください」という設問への回答結果でも、留学を介して培った力で最も役立つスキル(能力)として「語学力」が挙げられています。
仕事の面においても人生においても「英語力があることによるメリット」というよりも「英語ができないことによって生まれるデメリット」の方が多くなってきているように思います。
今までの項目でもご紹介してきた通り、日本の企業でもTOEICを含む英語力に対し、採用や昇進に一定の基準を設けるところが出てきていることしかり、異文化理解力を含むグローバル社会で生き抜くために必要な能力の土台を気づけるのが留学です。
ワールドアベニューが提案している留学プランで、就活に強い!と最も人気の留学が、海外ビジネスインターンシッププログラムです。海外ビジネスインターンでは、実際に海外の企業で働く経験を介して、ビジネスシーンで生かせる実践的な英語力の習得、実行力や行動力、社会人基礎力、仕事をする上での責任感、異文化の中で仕事をするという経験、高いTOEICスコアなどを取得することができます。
海外ビジネスインターンは近年、大学生の方で留学する方が非常に増えてきていますが、留学経験を武器に、就職活動において学歴フィルターを破り大手優良企業、グローバル社会で活躍する企業に就職している方が多くいらっしゃいます。
三菱東京UFJモルガン・スタンレー證券、キヤノンマーケティングジャパン、スタッフサービス、プレサンスコーポレーション、アクセンチュア、旭化成、楽天、中部国際空港、NTT、防衛省防衛研究所、環境省、外務省、在日オーストラリア大使館、学習院女子大学、野村総合研究所、㈱神戸製鋼所、ホテルニューオータニ、南都銀行、QATAR、P&G、astellas、NIDS、NISSAN、DAIKIN、Kawasaki、Ponycanyon Enterprise inc. 、ANA、UDトラックスなど
5、まとめ
いかがでしたでしょうか。留学するためには、休学したり、退職したりと、他の人と異なる時間を歩まなければならず、勇気のいる選択をしなければなりません。しかし、その決断の後に得られるメリットは、留学しなかったことでの後悔や、留学したからこそ得られるものを得られなかったときに将来的なデメリットと比較すると、「絶対にした方がいい」選択です。
留学を悩んでいる皆さんが、勇気をもって一歩踏み出されることを願っています。
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