費用や教育水準も大切ですが、一番大事なのは「安全性」ではないでしょうか?
留学では、語学力や知識、経験を身につけたり、さまざまな人と交流したりすることで、人生観や視野を広げることができます。しかし治安が悪いと、勉強に集中できなかったり、外出を控えたりすることになったり、万が一のときに病院に行けなかったりと、せっかくの留学が台無しになってしまいます。
ここでは、オーストラリア留学の大きなメリット「留学生活を安心して過ごせる安全性の高さ」をご紹介します。
オーストラリアは安全な国ランキングで何位ですか?
世界的な調査機関である「ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が発表した「世界の都市安全性指数ランキング 2021」において、シドニーは世界で4番目に安全な都市であることがわかりました。日本が5番目にランクインしていることからも、オーストラリアは安全な国であることがわかります。
はじめに。 ▼ |
1. 医療・健康環境の安全性 ▼ |
2. インフラの安全性 ▼ |
3. 個人の安全性 ▼ |
4. サイバーセキュリティ ▼ |
さいごに。 ▼ |
はじめに。
オーストラリアは、銃の所持が厳しく制限されているため、治安が良く、安心して留学生活を送ることができます。都市部では、日中も夜間も警察が巡回し、犯罪の抑止に取り組んでいる国です。パブやナイトクラブなどでは、IDチェックや持ち物検査が徹底されているので、安心して遊ぶことができます。ただし、人混みの中でのスリや窃盗などの軽犯罪には注意が必要です。
今回は、世界の国家や工業を分析し、情報を提供している企業 ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが2021年に世界主要60都市を対象に調査・発表した「世界の都市安全性指数ランキング(Safe Cities Index)」を基にオーストラリア留学の安全性について説明していきたいと思います。
1.医療・健康環境の安全性
高層ビルが立ち並び、暗く冷たい街は、人々も活気がなく、犯罪の多い場所です。そんな国や都市は、留学先として魅力的ではありません。生活環境が悪く、不健康な人が増えれば、その場所には、不安やイライラ、暴力などの問題が起こりやすくなります。
医療・健康環境の安全性では、各都市の自然環境保全や医療・福祉サービスのレベル・質といった観点から評価を行っています。この評価は、人々が安心して暮らせる環境が整っているかを判断するもので、オーストラリアのシドニーとメルボルンは、それぞれ6位と9位という高い評価を獲得しました。
医療・健康環境の安全性 最上位 10 都市
1位 | 東京 |
---|---|
2位 | シンガポール |
3位 | 香港 |
4位 | メルボルン |
5位 | 大阪 |
6位 | ソウル |
7位 | トロント |
8位 | ロンドン |
9位 | バルセロナ |
10位 | シドニー |
評価値は、60ヵ国の平均が66.7ですが、メルボルンは81.9、シドニーは77.7と高く、1位の東京と比べても大きな差はありません。そのため、日本と同レベルの医療・健康環境の安全性を確保していると言えるのではないでしょうか。
オーストラリアでも、日本と同じように生活習慣病が問題となっています。生活習慣病のリスクを減らすためには、健康増進、交通事故防止、大気汚染の改善などが必要です。オーストラリアではこれらの取り組みを重視しており、シドニーでは街中に緑あふれる公園を整備しています。これにより、シドニーに住む人々は、ウォーキングやジョギングなどの健康増進活動に取り組むことができる環境が整っています。
オーストラリアは都市部でも緑豊かで、明るく活気のある街並みが広がっています。物価はやや高めですが、経済も好調で、人々は積極的に消費しています。そのため週末になると、人々は美しいビーチでのバーベキューやマリンスポーツなど、さまざまな余暇を楽しんでいます。
また、公共工事を含む都市開発では、公共交通機関の充実と歩行者環境の改善に重点が置かれ、交通事故防止のための取り組みも積極的に進められています。
近年、アメリカやヨーロッパ諸国でテロ事件が相次ぎ、大都市への留学を不安視する声も上がっています。しかし、調査によると、テロ事件による全世界での死亡者数は2021年、7,142人(Global Terrorism Index(世界テロ指数、GTI))なのに対し、交通事故による死亡者数は130万人(WHO)と、テロの被害よりもはるかに多いことがわかります。このように、身近な環境の安全対策が、日々の安全性を確保するためには重要です。オーストラリアは、このような取り組みを積極的に行っているため、安心・安全・快適に暮らせる留学先と言えるでしょう。
2.インフラの安全性
留学先を選ぶ際には、テロや自然災害の危険性を気にされる方が多いと思います。しかしこれらの危険性は、いつどこでどのような規模で起こるかは予測がつきません。そのため、留学先を選ぶ際には、インフラの安全性の高い国や都市を選ぶことをお勧めします。
都市インフラという言葉を聞いたことはありますか。都市インフラとは、道路、鉄道、電力、水道などの都市を支える施設や設備のことです。近年、想定外の広域自然災害や大規模な火災、テロ事件などの脅威が高まっています。これらの脅威を緩和するためには、国や地方自治体、民間企業などが緊急事態における対策を踏まえ、快適で安心安全な街づくりを進めることが重要です。
例えば、2017年6月、イギリスのロンドン西部にある低所得者向け高層公営住宅グレンフェルタワー火災では、住宅の安全対策が不十分だったとして、地元自治体が批判されました。この火災では、住民72人が死亡し、それだけでなく生存者や目撃者のうち少なくとも20人が自殺を試みました。また、火災のトラウマから、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつを発症する人も少なくありません。この火災は、インフラの安全確保が人々の生活の安全性を確保する上で、非常に重要であることを示すものとなりました。
他にもわかりやすい例を挙げると、フィリピンが挙げられます。近年「格安留学」というキャッチフレーズで人気を集めているフィリピンですが、自然災害に最も弱い国の一つです。2012年には、台風による被害で1,000人以上が死亡し、70万世帯以上の人々が家を失いました。
自然災害やテロは、いつどこで起こるかわかりません。そのため、留学先の国や都市を選ぶ際には、インフラの安全性が高いかどうかをチェックすることが大切です。このインフラの安全性において、オーストラリアのシドニーは9位、メルボルンは15位にランクインし、世界でも有数の安全な都市として知られています。
オーストラリアは、経済レベルが高く、インフラ整備にも力を入れている国です。そのため、留学先としても安心できる都市環境が整っているといえるでしょう。
インフラの安全性 最上位 15 都市
1位 | 香港 |
---|---|
2位 | シンガポール |
3位 | コペンハーゲン |
4位 | トロント |
5位 | 東京 |
6位 | ストックホルム |
7位 | 大阪 |
7位 | ワシントンDC |
9位 | シカゴ / シドニー |
11位 | ニューヨーク |
12位 | ウェリントン / チューリッヒ |
14位 | フランクフルト |
15位 | マドリッド / メルボルン |
経済レベルが高く、インフラ整備に対して高い意識を持つオーストラリアは、安心して留学できる都市環境が整っているということがわかりますね。
3.個人の安全性
個人の安全性とは、犯罪や暴力事件など、人が生み出す脅威の発生リスクを評価するものです。例えば、2021年、テロ攻撃での全世界死者数が約7,100人なのに対し、殺人事件の死亡者数は約47万人と圧倒的に多く、留学先の安全性を評価する際に、「個人の安全性」が重要な指標の一つであることをお分かりいただけると思います。
参照:Global Terrorism Index(世界テロ指数、GTI)|WHOグローバルヘルス推定値
オーストラリアは、この指標において、シドニーが11位、メルボルンが18位という結果になりました。
個人の安全性 最上位 15 都市
1位 | コペンハーゲ |
---|---|
2位 | アムステルダム |
3位 | フランクフルト |
4位 | ストックホルム |
5位 | ブリュッセル |
6位 | パリ |
7位 | ウェリントン |
8位 | トロント |
9位 | リスボン |
10位 | マドリッド |
11位 | シドニー |
12位 | バルセロナ |
13位 | シンガポール |
14位 | ロンドン |
15位 | チューリッヒ |
※メルボルンは18位
なお、個人の安全性を評価する際には、その国の若者による暴力行為も重要なポイントです。近年、留学する年齢の幅は広がり、中学・高校生も多くなっています。留学先の国や都市の若者が犯罪に手を染めていると、安心して留学生活を送ることができません。若者の犯罪は、格差や貧困、差別などの背景で発生することが多く、政情不安や食料不足に直面する国では、特に多くなる傾向があります。
オーストラリアは経済的に安定しており、シドニーやメルボルンなどの主要都市においても、上記のようなリスクは少ないと考えられます。
オーストラリアは治安がいい国ですか?
経済平和研究所(IEP)が毎年発表を行っている「世界平和度指数(Global Peace Index)2023」において、オーストラリアは22位にランクインしています。世界的に見ると治安が良い国ですが、日本と同じような生活ができるわけではなく、一定の注意が必要です。
具体的には、スリや置き引きなどの窃盗や強盗の被害が増加しています。また、近年では性犯罪も増えつつあります。
対策として貴重品は肌身離さず持ち歩き、夜間一人で出歩かないようにしましょう。
オーストラリアの危険地域はどこですか?
オーストラリアは治安が良い国ですが、一部の地域は注意が必要です。
例えば、シドニーのキングスクロスやレッドファーン地区は、犯罪発生率が高く治安が悪いとされています。昼間と夜では雰囲気が大きく異なるので、夜間は絶対に近づかないようにしましょう。
オーストラリアの治安は銃の所持が厳しいですか?
オーストラリアは厳しい銃規制が行われていますので、日本と同じような感覚で生活することができるでしょう。
4.サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティでは、インターネットなどのテクノロジーを安全に利用できる環境が整っているかを評価しています。
IoTやAIなどの技術が急速に進歩する中、IoTを活用してエネルギーや生活インフラを管理する「スマートシティ」が注目を集めています。スマートシティでは、IoTやAIを使って、エネルギーや生活インフラを効率的に管理し、住民の生活の質を向上させています。しかし、これらの技術はサイバー攻撃の標的になりやすく、リスクが高まっています。
アメリカのロサンゼルスやサンフランシスコ、ニューヨーク、日本の東京など、世界有数の都市では、このような技術を活用したスマートシティ化が進んでいます。これらの都市では、都市インフラやセンサー、ビッグデータなどがインターネットでつながっており、サイバー攻撃のリスクが高まっています。そのため、万全なセキュリティ体制を構築することが重要です。
オーストラリアの各都市では、国際的なイベントも多く開催されることから、サイバー攻撃対策や基幹インフラ防御への取り組みを加速させており、結果、シドニーは第1位に、メルボルンは8位に輝いています。
サイバーセキュリティ 最上位 10 都市
1位 | シドニー |
---|---|
2位 | シンガポール |
3位 | コペンハーゲン |
4位 | ロサンゼルス / サンフランシスコ |
6位 | ニューヨーク |
7位 | アムステルダム |
8位 | メルボルン |
9位 | ウェリントン |
10位 | シカゴ / フランクフルト |
さいごに。
いかがでしたでしょうか。
ちなみに、「世界の都市安全性指数ランキング(Safe Cities Index)」の総合評価は下記の通りです。
「世界の都市安全性指数ランキング(Safe Cities Index)」総合評価最上位 10 都市
1位 | コペハーゲン |
---|---|
2位 | トロント |
3位 | シンガポール |
4位 | シドニー |
5位 | 東京 |
6位 | アムステルダム |
7位 | ウェリントン |
8位 | 香港 / メルボルン |
10位 | ストックホルム |
「安全性」というと、犯罪発生率や殺人率などの「結果」ばかりに目がいきがちですが、犯罪の発生要因を捉え、未然に防止する策を練っているかどうか、また、予測の難しいテロや自然災害に対して万全の備えがあるかどうかなど、さまざまな観点から判断する必要があります。
世界は広く、主要英語圏といっても、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランドなどさまざまな国があります。また、近年は、格安留学を謳った発展途上国への留学も人気です。しかし留学する上で、本来の目的を達成するためには、ドラマや映画からの憧れや、安さだけではなく、安全、安心、快適な生活環境で留学できるかどうかも重要です。そのような視点から見ると、世界の都市安全性指数ランキングで上位10位に2都市もランクインするオーストラリアは、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。