オーストラリア・ビクトリア州(メルボルン)学校視察レポート|2023年
オーストラリア・ビクトリア州(メルボルン)学校視察の背景
オーストラリア・ビクトリア州政府(Study Melborune)よりご招待いただきインバウンドファムファムツアーにワールドアベニューの留学コンサルタントが参加しました。世界で最も住みやすい都市の一つとも言われるメルボルンを州都に構えるビクトリア州は、留学先としても人気の高い州の一つです。今回はTAFE(テイフ)と呼ばれるオーストラリア独自の高等教育機関を中心に学校視察を行いました。当レポートでは、留学後、グローバルに活躍したいと希望される方や、オーストラリアでの永住や移住を検討されている方から注目を集めるビクトリア州のTAFEの最新情報をお届けします。
視察してきた留学コンサルタント
ビクトリア州(メルボルン)の特徴・留学生サポート体制
ビクトリア州はオーストラリア国内で、シドニーのあるニューサウスウェールズ州についで2番目に人口が集う州です。州都のメルボルンは、多様な指標に基づき、留学生にとって最良の都市を紹介するQS Best Student Cities 2024で世界第4位、オーストラリア国内では第1位と高い評価を受けています。StudyMelbourneが公開する街の様子を見てみましょう。
QS Best Student Citiesとは
Quacquerelli Symonds (QS) が発表した世界160の教育都市を対象としたランキングです。
大学ランキング、学生構成、魅力度、雇用者の活動、価格、学生の声の6つを主要カテゴリーとして評価しています。詳細はQS Best Student Citiesをご覧ください。
私自身、以前ワーキングホリデー制度を利用しメルボルンに滞在しました。約10年ぶりに訪れた街はとても整備されて、綺麗になったな.. というのが最初の印象でした。異なる特徴を持つ様々な建物、その合間から漂う香ばしいコーヒーの香り、街ゆく人たちの洗練されたファッションやブティックショップ、かと思えば、路地裏には強烈なインパクトを残すアーティスティックなグラフィティなど、ただ街を歩いているだけでもワクワクが止まらない… そんな街でした。
留学生支援体制も非常に充実しています。
International student Travel passと呼ばれるパスを利用することで公共交通機関を15%OFFで利用できたり、Student Hubと呼ばれる州政府が運営する学生支援センターの支援を無料で受けられたり、初めての留学でも安心して生活できる環境が整っているように感じました。
特にStudent Hubの存在は大きいなと思います。
Student Hubは街の中心にあり、公共交通機関でのアクセスも容易です。平日9時から5時まで利用でき、フリーWiFiはもちろんのこと、パソコンやプリンターも自由に使うことができ、コーヒーやお菓子も無料です。法律的な相談や仕事探しなどのキャリアサポート、ボランティア活動紹介なども行っており、スタッフの中には日本語を話せる方もいらっしゃいました。対象は留学生に留まらないため、ネイティブの学生との交流、ネットワーキングなども可能です。Student Hubの様子は動画でも公開されています。ぜひチェックしてみてください。
Student Hubについて詳しくは、Study Melbourne Hub, Victoriaでご覧いただけます。
視察した学校(TAFE・大学)のご紹介
ここからは視察した学校についてご紹介したいと思います。今回の視察ではTAFEと呼ばれるオーストラリア独自の教育機関を中心に(一部大学も含む)視察しました。
TAFE(テイフ)とは、Technical and Further Educationの略で、オーストラリア州政府が直接運営する高等専門教育機関です。ビジネスやIT、ホスピタリティや幼児教育など様々な分野の専門知識と資格を取得することができるため、帰国後のキャリアアップや、オーストラリアでの就職や永住を目指す方から人気のある学校です。
視察した学校は次の通りです。
TAFE
・William Angliss Institute
・Box Hill Institute
・Holmesglen Institute
・Chisholm Institute (Dandenong Campus)
・Melbourne Polytechnic (Preston Campus)
・Kangan Institute (Docklands campus)
・Gordon TAFE (Geelong City campus)
大学
・RMIT University (City Campus)
・Swinburne University of Technology
・Victoria University Polytechnic (City Campus)
それぞれの概要や特徴をご紹介します。
William Angliss Institute
一言でいうと、ものすごく魅力的な学校だなと感じました。
特に魅力に感じたのは
1. ロケーション
2. 設備の充実度
3. 企業とのネットワーク
4. コースのバリエーション
5. 学生からの評価 です。
日本でもよくある話かと思いますが、TAFEや大学など、いわゆる”学校”は設備の兼ね合いで広い土地を必要とし、ビジネスやITを中心とした学校は別として、都心の中心地にキャンパスがあるケースは多くありません。実際、今回視察した他の学校もそのほとんどが都心部からは少し離れた場所にキャンパスがあるケースがほとんどでした。しかし、William Angliss Instituteはホスピタリティ関連を中心とした学校にも関わらず、キャンパスが都心部にあり、しかも広々としています。
例えば、シェフを目指すコースでは1人ひとつの広々としたキッチンの作業場が与えられますし、チョコレート制作やコーヒー制作(バリスタ育成)のためだけの専門の設備が用意されていたりします。また、実践的な経験が積めるようにと、本格的なレストランが併設されていたり、ホテルのモデルルーム、しかも和室・洋室など様々な洋式で用意されていました。
充実した設備のなか、実践的にトレーニングを積むことができるため、卒業後には即戦力として各業界で活躍できると学生や、William Angliss Instituteの卒業生を雇った企業からの評価が高い点も素晴らしい!と感じました。
また、企業とのつながりも強く、William Angliss Instituteのキャンパスのすぐ裏には有名なホテルがあるのですが、William Angliss Instituteの学生の多くがそこでアルバイトをしているとのことでした。
Box Hill Institute
Box Hill Instituteでは、Bachelor of Music Industryを中心に見学させていただきました。Bachelor of Music Industryでは、音楽産業の6つの主要な柱のうちの1つを専攻します。ビジネス、作曲、音楽制作、パフォーマンス、ソングライティング、オーディオ制作の6つで、本格的な設備環境のなか、プロフェッショナルを目指し勉強することができるそうです。
Box Hill Institute 視察時の様子
視察の際には、映画の音響制作を体験させていただきました。普段何気なくみている映像が作られていくまでの過程を体験する貴重な経験でした。
他にも、国際的に評価されているアーティスト・イン・レジデンス・プログラムへのアクセスが可能だったり、200人以上収容可能なライブ会場でのパフォーマンス機会を得られたり、就活の際にも活かせるクリエイティブなポートフォリオ制作ができたり、さらに講師陣は各分野におけるプロフェッショナルで学生のうちに彼らから最新の技術や知識を学ぶとともにネットワーキングができたりする点も魅力的だなと感じました。
Music Industry以外にもファッションアート、音楽制作など芸術関係に非常に力を入れている印象でした。
Box Hill Instituteについて詳しくはこちら
Holmesglen Institute
Holmesglen Instituteは6つのキャンパスを構える州内最大のTAFEです。オーストラリア国内で初めて、TAFEで学士以上のコース提供を始めたTAFEとしても有名です。
アート&デザイン、建築&建設、ビジネス&ファイナンス、コンピュータ&IT、教育、園芸&環境、ホスピタリティ&トラベル・ツーリズム、看護&コミュニティ・ヘルスサイエンス、スポーツ・フィットネス&健康の分野にてコースを提供しており、アカデミーと実践と両方のバランスを大切にしたカリキュラムが人気です。付属病院もあるため看護学部の学生は在学中に実践的な経験を積むことができます。英語コースも開講しているため、英語力が各コースの入学規定に達していない場合でも、Holmesglen Instituteのキャンパスで英語学習から留学生活をスタートすることができます。
Holmesglen Instituteについて詳しくはこちら
Chisholm Institute (Dandenong Campus)
Chisholm Instituteで最も印象的だったのは、エンジニアリングコースの設備の充実度の高さ(国内1位の充実度)と、TAFEでは非常に珍しく、留学生向けに、心理学(Psychology)、しかも学位取得のコースが開講されていることです。幼児教育(Early Childhood Education)のDiplomaを2年、その後、心理学のコースに編入する方も多いそうで、TAFEならではの柔軟性だな.. と感心したことを覚えています。
在学中はもちろん、卒業後のキャリアを見据えたキャリア支援や、世界各国の企業とネットワークを持っており、就職率が高い点なども魅力的だと感じました。
留学生向けのコースは、会計、アルコール・その他薬物依存へのメンタルヘルス、ビジネスマネジメント、幼児教育、エンジニアリング、看護学、心理学です。
Chisholm Instituteについて詳しくはこちら
Melbourne Polytechnic (Preston Campus)
Melbourne Polytechnicはメルボルン郊外に複数のキャンパスを構えるTAFEで、農業&自然保護、動物学、建築・建築設計・建設、経営学・会計学、教育学、エンジニアリング、理容、園芸、ホスピタリティ、ヒューマン・サービス、情報技術とセキュリティ、音楽&音響、スクリーン&メディア、演劇、制作、メイクアップ、ビジュアル・アート、その他にも学士課程で幼児学、イラストレーション、ビジネス、農業、ブドウ栽培、作詞作曲、土木工学、獣医看護学など、多種多様なコースを提供しています。
Melbourne Polytechnic視察時の様子
なかでも強みとして挙げていたのはホスピタリティ&クッカリーのコースで設備の充実度や市民開放しているレストランでの実践的なトレーニング、加えて学費のリーズナブルさでした。学生サポートを行うスタッフの一人、チューイさんは、700名もの留学生全員と繋がり、きめ細やかなサポートを提供しているという点も魅力的でした。
Melbourne Polytechnicについて詳しくはこちら
Kangan Institute (Docklands campus)
Kangan Instituteでは留学生向けコースとして、オートモーティブ(自動車整備関連技術)のコースと英語コースとを開講しています。オーストラリアで自動車整備士を目指す日本人留学生との声も聞くことができました。コース受講開始直後は、専門用語が多いなかでの実践的な授業には多くの苦労が伴ったようです。しかし、技術士としても、また指導者としても経験豊富な講師にサポートされながら、今では充実した日々を過ごせていると言います。
KANGAN Institute視察時の様子
オートモーティブのコースは以下の通りです。
Certificate III In Light Vehicle Mechanical Technology
Certificate IV In Automotive Mechanical Diagnosis
Diploma Of Automotive Technology
卒業後はワークショップ・スーパーバイザーや自動車整備士を目指せるそうです。
Kangan Instituteについて詳しくはこちら
Gordon TAFE (Geelong City campus)
Gordon TAFEでは、チャイルドケア(幼児教育)とクッカリーのコースを中心に見学させていただきました。特に印象的だったのはチャイルドケアのコースです。多種多様なバックグラウンドを持つ園児が多いオーストラリアの保育園で働くことを前提としているためか、実習室にある園児の人形も肌の違う人形や障害を持っている人形などがありました。また絵本やパズルなど子供達のおもちゃにも、異文化理解を促すものが多く、「日本との違い」を感じました。
Gordon TAFE視察時の様子
クッカリーのコースでは、設備の充実度の高さに目がいきました。特に、講師の手元がどの位置の学生でも見れるようカメラで撮影した映像が配信されるような作りは他の学校で見る機会がなく、感心しました。またGeelongはビクトリア州で2番目に大きなエリアで、ファーム先としても人気のエリアです。1人部屋で週150ドル、通学もバスで10分程度という学生寮も魅力的でした。
Gordon TAFEについて詳しくはこちら
ここからは大学をご紹介します。
RMIT University (City Campus)
RMITには、工学、デザイン、建築、国際ビジネス、コミュニケーション、教育、保健医療など150以上もの専門的なプログラムを提供する「職業直結型」の大学です。なかでもビジネス、デザイン、建築学が有名です。世界大学ランキングでは150位以内にランクされる優秀な大学で20,000人もの学生が在籍しています。企業とのネットワークも広く、就職率も強みだと言います。
RMIT大学視察時の様子
今回の視察で特に印象的だったのは芸術関連のコースです。例えばRMIT大学のデザイン学部は、QS世界大学ランキングオーストラリア国内1位にランクインしています。キャンパスも独創性あふれるデザインに溢れており、学生は創造性を刺激するキャンパスで学生生活を送ることができるな.. と感じました。また、ファッションやテキスタイルの分野では、Business of fashion’s(BoF)の「Best Fashion Schools in the World(世界のベストファッションスクール)」の調査において過去11位に選ばれるという功績を収めていたり、ナイキグローバルとコラボして環境に配慮した靴を作るプロジェクトを行ったりと、世界的に有名な企業とのネットワークも幅広く持っているそうです。
Swinburne University of Technology
Swinburne University of Technologyのメインキャンパスは、メルボルン中心部から東へ約7キロほどのホーソンに位置しています。比較的コンパクトなキャンパスの中に、学生生活に必要なものが全てぎゅっとつまったコミュニティになっており、人と人との距離が近く、居心地のいい空間でした。
応用イノベーション、芸術、人文科学、社会科学、航空、建築環境&建築、ビジネス、デザイン、教育、エンジニアリング、映画&テレビ、ゲーム&アニメーション、健康、情報技術、法学、メディア・コミュニケーション、看護学、心理学、科学など多種多様なコースが開講されており、科学と技術をビジネスやコミュニティと結びつける質の高い研究で国際的に評価されている大学です。
Swinburne University of Technology視察時の様子
今回の視察で特に印象的だったのはチャイルドケアのコースです。40年以上にわたり提供されている人気のチャイルドケアコースは約1年間のCertificate 3からDiploma、Bachelorとステップバイステップで進級していく学生が多いそうです。
Swinburne University of Technologyについて詳しくはこちら
Victoria University Polytechnic (City Campus)
Victoria UniversityはTAFEのコースと学士・修士・博士課程などの高等教育コースの両方を提供する、オーストラリアでは数少ない大学のひとつです。職業に繋がる技術や知識を身につけられる大学として国内外で高い評価を得ており、総合力でも世界大学ランキング上位2%に入る優秀な大学です。メルボルン以外にもシドニーやブリスベンにもキャンパスを構えています。
Victoria University視察時の様子
2023年4月にグランドオープンした32階建てのシティ・キャンパスは、自然環境を意識したグリーンスター5つ星ビルで、有名なクイーンビクトリアマーケットから徒歩約5分の場所にあります。実際、訪れたキャンパスは清潔感に溢れ、モダンで緑豊か、とても居心地のいいキャンパスでした。自習室やカフェやレストランなどの設備はもちろんですが、BBQ台が設置されたバルコニーやサウナ、学習面・精神面ともにサポートしてくれるサポートセンターの存在など、魅力満載でした。視察で印象に残っているのはビューティ系のコースです。キャンパス内に生徒が運営しているサロンがあり、一般のお客様が格安でサービスを受けることができるそうです。このように在学中から実務経験を積むことのできるコースが豊富な点はVictoria University Polytechnicの魅力だと感じました。
オーストラリア留学に関するご相談
メルボルンの特徴やサポート体制、ビクトリア州のTAFEや大学についてご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。ワールドアベニューでは、お客様のご希望や目的に適切にお答えすべく、提携教育機関との定期的なミーティングなどはもちろんのこと、今回のレポートにもあるように実際にその土地に出向き、視察を実施しています。各国の教育省や教育機関からご招待いただき視察ツアーにも積極的に参加しています。一つひとつの学校についてより詳しい話を聞いてみたいという方は、留学カウンセリングをご利用ください。留学カウンセリングは無料です。初回カウンセリングはオンライン(ZOOM)にて所要時間30分程度からご利用いただけます。皆様からのお問い合わせ、ご相談を心よりお待ちしています。